防災に関する調査研究
九州地方では、過去より大規模かつ多様な災害により教訓を得て様々なことを学んできました。
一方で、災害の教訓は伝えにくく、また過去の災害に関する資料が継承されず、十分に活用されていない状況も見受けられます。
このため、九州地方において過去に発生した地震、津波、火山災害及び風水害に関する調査結果を平成24年より収録し、当協会ホームページの「九州災害履歴情報データベース」として継続的な公開を行っています。
九州災害履歴情報データベースの利用環境改善
令和3年度の検討内容
「九州災害履歴情報データベース」の活用促進や活用の高度化の観点から、利活用場面や利用者ニーズを設定・抽出し、現行HPにおける問題点と課題の洗い出し及び改善策の検討を行いました。
具体的には、利活用場面ごとの活動内容とその中で災害履歴データベースの活用が考えられる取組を設定しました。
また、関係者への簡易ヒアリング結果を基に、災害情報を調べるための検索キーワードを設定し、現行HPを使用した場合のHPへの辿り着きやすさを評価するとともに、掲載情報の内容や現行HPの操作性に着目し、課題の抽出と改善策の検討を行いました。
活用場面 | 災害履歴データベースの活用が考えられる具体的な取組など |
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地域防災 | 防災知識の普及・啓発、過去に災害の起こった現地視察先の検討 等 |
学校教育 | 地域防災マップの作成や現地視察先の検討 等 |
企業等 | BCP計画時の発生事象の洗い出し(過去にどんな災害が起きたか=リスクがあるか) 等 |
行政 | 災害に関する知識の構築や、住民への配布資料作成 等 |
学者等 | 研究を進める上での文献情報や、現地視察先の検討 等 |
現行HPの問題点の中でも「欲しい情報への辿り着きやすさ」が今後も利活用促進で重要と考え、改善案として検索機能の充実を検討しました。
具体的には、ニーズの高い検索項目の設定と検索に対応するデータベースの更新作業等を行い、更なる利活用促進に向けた対応をしました。
今後、災害履歴情報データベースにおいて、「地域」や「災害碑の有無」等による検索が可能となれば、必要な情報だけの効率的な抽出が可能となります。
また、今回作成の伝承冊子の活用により、防災教育の一環として児童が作る防災マップや地域住民への配布資料の素材としての活用などが考えられます。
改善案反映後の災害履歴情報データベースの活用イメージ
避難訓練や課外授業の箇所検討
年表から | 自分の地域に関する災害情報や災害碑を |
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詳細ファイルから | 地域に存在する災害碑や関連史跡をめぐるなど、現地調査に活用できる。 |
防災マップの素材として活用
年表から | 自分の地域に関する防災情報や災害を抽出し、災害の選定に活用できる。 |
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伝承冊子から | 子供たちが作る防災マップの素材として活用できる。 |
BCP計画時(災害の発生事象洗い出し)
年表から | 自分の地域に関する災害情報を抽出し、過去の発生頻度などの分析に活用できる。 |
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詳細ファイルから | 災害情報を調べる際の資料探しや情報収集先の選定に活用できる。 |